第66回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第66回月例会が、11月18日(金)にアパグループ東京本社にて開催されました。
 冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「11月15日のCOAST coal harbour hotel by APAのグランドオープンに合わせて、勝兵塾・ACC合同海外視察研修を実施し、八十数名の方々にご参加いただいた。レセプションにはブリティッシュコロンビア州政府関係者や日本総領事、近隣の日系企業からも多くの方々に来てきただき、アパの進出を大変歓迎された。当ホテルの客室の大きさは変えずに、全室にウォシュレットや55インチの大型TVを設置するなど、新都市型ホテルの要素を取り入れた。アパのホテルに慣れた多くの人々は、他のホテルに泊まると不便に感じる。昨年マンハッタンでの記者会見でも話したように、世界のホテルはいずれアパホテルのような新都市型ホテルに収斂していくだろう。新都市型ホテルはスペースを売るのではなく満足を売るホテルであり、環境にも配慮している。時代は刻々と変わっているのに、ホテルだけが古い伝統に固執している。伝統的なホテルでは、ゲストとスタッフの関係はご主人様と召使のような関係であるのに対して、新都市型ホテルでは、ゲストとスタッフは対等であるという理念の下、スタッフは誇りを持ってゲストをお迎えし、ゲストは誇りを持って泊まっていただく。さらに新都市型ホテルでは、ゲストが一度チェックインした部屋には、スタッフはゲストに無断で入ってはならないとしている。これはゲストとスタッフが対等であるからこそ、ゲストのプライバシーを尊重するからである。スタッフがゲストの部屋に勝手に入ってサービスをするのは、スタッフが召使だという発想である。こうした理念を持ってやってきたからこそ、アパホテルが日本一のホテルチェーンとも言えるところにまで成長することができた。アパの世界戦略が始まり、北米で40ホテルを展開することになったが、今後は闇雲にホテル数を増やすのではなく、新都市型ホテルの理念を共有できるオーナーに絞ってFCを展開していき、質を高めていく。」と、11月15日にバンクーバーで行われたホテルのグランドオープンの模様や新都市型ホテルのコンセプトについてお話しいただき、続いて当日の記者発表の動画を視聴しました。

ジブチ共和国大使館特命全権大使 アホメド・アライタ・アリ様

ジブチ共和国大使館特命全権大使 アホメド・アライタ・アリ様

 ジブチ共和国大使館特命全権大使のアホメド・アライタ・アリ様は、「大統領と安倍総理は2013年に会談しており、2020年の東京オリンピックが決まった際には、ジブチは東京に投票した。ジブチは小さい国であるが、戦略的には重要な国である。隣のエチオピアには港がないため、ジブチの港を経由して物の移動が行われている。私が日本大使として着任した2010年は、まだジブチに日本大使館はなく、日本人は全くいなかったが、私が着任してから自衛隊がジブチに駐屯するようになり、JAICAや日本企業も来るようになった。今年行われたTICAD 6でも大統領と安倍総理が会談し、民間の交流について語られた。塩湖であるアッサル湖では、日本の支援で地熱発電を行おうとしている。また、自衛隊のお陰で海賊がいなくなり、平和で安定している。ドバイやシンガポールのようにフリーゾーンを設けて、無税でエチオピアの市場にもアクセスできる。さらに、ジブチから多くの留学生を日本に送っている。皆さんにも是非、ジブチに来ていただきたい。」と、ジブチ共和国と日本との深い関係を紹介されました。

衆議院議員・自民党総裁特別補佐の西村康稔様

衆議院議員・自民党総裁特別補佐 西村康稔様

 衆議院議員・自民党総裁特別補佐の西村康稔様は、「2009年に、自衛隊の拠点を造るために、外務政務官としてジブチに行き、大統領とも会談した。ジブチには『福沢学校』という学校があり、子供達がそこで学び、巣立っていっている。」と、ジブチ共和国との関係について触れられた後、「トランプ大統領が誕生したことで世界中の株が上がり、円安になっている。経済政策については、減税、インフラ投資、規制緩和など、言っている内容はまともである。外交政策についても、中国に対しては強硬、ロシアに対しては柔軟であり、日本にとっては良い。プーチン大統領の訪日が決まり、安倍総理は平和条約の締結や北方領土問題の解決に向けて前進させようと力を入れている。安倍総理とトランプ氏との会談は1時間半にわたって行われた。トランプ氏はアメリカの利益になるとわかれば、前言撤回をする。だから、TPPがアメリカにとってプラスになることを説明していく。TPPが発効しなければ、牛肉については、日豪FTAがスタートした豪州と比べてアメリカは不利になり、7万トンのコメの日本への輸出がなくなり、豚肉についても、日EU・EPAがスタートすれば、デンマークに比べてアメリカは不利になる。トランプ支持者にはレッドネックと呼ばれる勤労者が多いが、彼らは自由貿易によって職を失ってきた。しかし、アメリカで販売されている日本の自動車は、すでにほとんどアメリカで製造されている。また、TPP発効によって、TPP域内でサプライチェーンを構築していこうとするため、例えばアパレルでは生産を中国からベトナムにシフトしていくことになることが考えられる。このことは、中国をはじめ、TPPに入らない国に対して国際ルールを守るようプレッシャーをかけることになる。トランプ政権では、長女のイヴァンカ氏やその娘婿であるクシュナー氏が中心になるだろう。また、首席補佐官として共和党主流派のプリーバス氏が指名されている。」と、トランプ次期大統領の政策に対する予想とTPP発効に向けた取り組みを披露されました。

一般財団法人日本文化事業団代表理事の種田光一朗様

一般財団法人日本文化事業団代表理事 種田光一朗様

 一般財団法人日本文化事業団代表理事の種田光一朗様は、「武蔵野美術大学建築学科に在学中にサンピエトロ大聖堂に興味を持ち、1975年にローマを訪れたところ、ホーリー・ジュビリーという、カトリックの100年に一度の祭典が行われていて、大変感銘を受けた。そうしたことから、修道院で5年間、共同生活を送りながら、非カトリック信者で唯一の日本人として学んだ。そこで学んだことは日本の素晴らしさである。例えば『ありがとう』という言葉の意味を周囲からよく聞かれたが、これは仏教にある言葉で、めったにないことに感謝するところから来ていると答えると、大変喜ばれた。また『さようなら』という言葉は、平家物語の諸行無常という、この世の定めに従うという意味の『左様ならば』から来ている。なお、英語の“Good‐by”は『神の身元へ』という意味である。そこに人生観の違いが現れている。私の恩師は、後にローマ法王のベネディクト16世となった方である。バチカンの図書館には和紙やパピルス、羊皮紙のものまで、世界中の紀元前からの重要文献が7、000万ページも保管されており、これらをデジタル化して人類の将来に残したいというプロジェクトが計画され、2007年にその恩師から、日本で協力するようにと言われて活動した。その結果、2013年にNTTデータとバチカンが契約することができた。IBMやマイクロソフト、Googleといった会社が売り込みをかけていたようであるが、バチカンはニュートラルな立場でやってほしいということで、日本に期待したのである。70ペタバイトのデータを日本国内に持ち込み、日本の文化施設として保全することで、日本は文化立国となるだろう。しかも、どの国も自国の文化遺産の消滅を恐れて日本に核攻撃ができなくなるため、平和的な抑止力ともなる。また、日本がなぜ世界一長い歴史を持ちながら新しいものを取り入れることができ、しかも、欧米化するようでいて欧米化しないのかということについて、バチカンで研究が行われた。その結論は、日本には万世一系の天皇の存在があるからである。」と、修道院での共同生活での経験や、バチカンと日本との関係を紹介されました。

フリーライターのマイケル・マーティン様

フリーライター マイケル・マーティン様

 フリーライターのマイケル・マーティン様からは、「神道に関する英語の文献を探したが、非常に単純なものかマニアックなものしかない。」というコメントが出され、これに対して種田様は、「ベネディクト修道会の修道士と永平寺の修行僧が相互に修道院や禅寺を訪れて修養体験を行うという交流を行ってきた。日本仏教ではほとんど成果がなかったが、カトリックの方では禅の研究が進んだ。その背景には、目的意識の違いがあり、日本では宗教的な深い理念は言葉にできないという考え方がある。これでは文化を伝えることができない。」と答えられました。また、勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「日本を代表する仏教学者である鈴木大拙の書籍は世界中で翻訳されており、ドイツでは書店に平積みになっているくらいである。」と補足されました。

衆議院議員・消費者問題特別委員長の原田義昭様

衆議院議員・消費者問題特別委員長 原田義昭様

衆議院議員・消費者問題特別委員長の原田義昭様は、「トランプ氏が次期大統領に決まったが、決まると世界中で、『自分はトランプ氏が勝つと思っていた』と言う人が出てきたが、アメリカでの報道の85%以上はクリントンが勝つと報じ、日本ではそれ以上の割合だった。そのような中で、代表は以前からトランプの勝利を予想していた。考えてみれば、トランプ氏がまだ大統領に就任してもいないのに日本の総理が会いに行くのもおかしな話だが、そこは安倍総理の強い意志があったのだろう。トランプ氏は実業家であるので、経済については無茶なことはしてこないと思われる。アメリカ・ファーストではあるだろうが、株価は上昇し、円安にも振れているので、日本経済にとってもプラスである。ただし、政治、外交、安全保障では心の準備が必要である。要は自分の国は自分で守れということである。日本の防衛費が5兆円前後であり、思いやり予算として約3、000億円を負担している。トランプ氏は米軍の駐留費を全額負担しろと言っているが、米軍がすぐに撤退することはないだろう。しかし、日本はそろそろ自分の国は自分で守るということを考え始めなければならない。安倍総理は国と国民を間違った方向にもっていくことはないだろう。万世一系の天皇がおられるから我が国が在る。」と、トランプ大統領の誕生を機に日本の安全保障の在り方を考え始めるべきだと訴えられました。

国際正道‐空手連盟正道会館正天會会長の中川正秀様

国際正道‐空手連盟正道会館正天會会長 中川正秀様

 国際正道‐空手連盟正道会館正天會会長の中川正秀様は、「富山県で空手道場を開いている。武道は武士道から生まれた日本の伝統文化である。正道会館で30年間空手道をやってきたが、小中高で学んだ歴史と、武道を通じて学んだ歴史との間に大きな違いがあると感じ、その違いについて自ら学んできた。武道から学んだ文化、特に言葉や様式についてお話ししたい。『回れ右』という言葉があるが、これは左回りだと後ろから敵が襲ってきたときに二挙動となり、対処が遅れるために右回りをする。また、立ち方、座り方について、左足から座り右足から立つのが正しいが、これは敵が襲ってきたときに常に刀を抜ける姿勢をとるためである。さらに、挙手をする際に右手を上げ、手のひらを相手の方に向けるが、これは相手に対して刀を抜かず心を許していることを表している。こうした様式だけでなく、言葉にも伝統文化が残っている。最近『生前退位』という言葉がよく使われているが、この言葉に悪意を感じざるを得ない。正しくは『譲位』である。また、『天皇家』も戦後左翼によって創られた悪意に満ちた造語である。正しくは『皇室』である。さらに『天皇制』は本来日本になかった言葉である。大正時代にソ連のブハーリンや鍋島貞親が世界赤化革命を目指す中、日本でなかなか赤化が進まなかったのは、皇室があるために日本の国体がぶれなかったからだと分析し、『天皇制』という言葉を流布させたのである。皇室を『制度』にしてしまうと破壊することができるため、制度という概念を植え付けたのである。そういう点ではこの作戦は成功していると言える。本来であれば『国体』と呼ぶべきである。このように言葉の破壊が進んでいる。『子供達』という言葉も本来間違いである。目上の人の複数形には『達』『方』を使い、目下の人の複数形には『供』『等』を使うのが正しく、『子供』は『子』の複数形である。」と、動作の意味を武道と関連付けて解説され、誤った言葉について警鐘を鳴らされました。

株式会社東京堂インターナショナル代表取締役社長の上田亮一様

株式会社東京堂インターナショナル代表取締役社長 上田亮一様

 株式会社東京堂インターナショナル代表取締役社長の上田亮一様は、「私は昭和23年生まれであるが、父が昭和17年に志願してマーシャル諸島のミレー島で朝鮮人を徴用して飛行場建設に従事した。当時慰安婦もいたが、ちゃんとお金を払って遊びに行ったという。父の部隊には朝鮮人もいたが、日本人は日本人の女性を好み、朝鮮人は朝鮮人の女性を好んでいたようだ。朝鮮人は気が小さく、敵の攻撃があると、散らばるように命じても集まってしまう一方で、死体を片付けるように命じると、スコップで無造作に片付けるようなところがあったと聞いている。飛行場を建設する際に、土を固めて時間をかけて建設したが、米軍は鉄板を敷いてすぐに使っていたのを見て、こうした合理性では米軍に勝てないと思ったと父は言っていた。父は昭和20年12月に帰国できたが、途中で硫黄島を見ると、でこぼこになっていて、行きと帰りとでは全く違う姿になっているのを見て、戦闘の激しさを実感したようだ。」と、御尊父の戦争体験を紹介されました。

 

 最後に塾長は、「バンクーバーで当初アップルタウンを客室に置こうとしたら、現地幹部の反対があった。それでも置くようにしたら、当初観光局にクレームを言った宿泊客がいたようであるが、それ以上の批判はこれまでない。本当のことを海外に向けて発信してこなかったことは日本人の怠慢である。特に外務省は予算の1割でも使って、日本のためになる情報発信をするべきである。私がアメリカやカナダでホテルを増やすのは、本当のことを英語で発信するためでもある。第九回となった懸賞論文では、最優秀賞にスタンフォード大学フーヴァー研究所で唯一の日本人教授である西鋭夫氏が選ばれ、12月8日に明治記念館で表彰式が行われる。第一回の最優秀賞に当時現職の航空幕僚長だった田母神俊雄氏が選ばれて以来、8年間で世の中が大きく変わった。本当のことを知れば皆保守になるからこそ、戦後の占領政策では本当のことを知らせないようにしてきたのである。ここで本当のことを知るための努力を、国を挙げてやるべきである。アップルタウンでは英語のコーナーを増やし、来月号からはエッセイの英訳を同月に掲載するようにした。これまで18回にわたってアップルタウンで、トランプ氏が大統領になれば日本にとってチャンスであると書いてきた。トランプ氏の言っていることはまともであり、大統領になればまともな政策が行われるだろう。」と、アパの世界戦略の意義と、海外に向けて英語で情報発信することの重要性を強調されて、会を締め括られました。