第81回 勝兵塾月例会レポート

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

塾長・最高顧問 元谷 外志雄

 勝兵塾第81回月例会が、2月15日(木)にアパグループ東京本社で開催されました。冒頭のアパグループ元谷外志雄代表による塾長挨拶では、「お手元に今月号のエッセイをお配りしたが、タイトルは『中国の仕掛ける「歴史戦」に対抗せよ』である。昨年研修旅行でハワイを訪れた際に、太平洋航空博物館でドゥーリットル隊を助けた中国人25万人を日本軍が殺害したという表記を見つけ、秋葉賢也代議士を通じて外務省に撤去を働きかけるよう要請したところ、3カ月以内に撤去する旨の回答を得た。この話を以前エッセイで書いたところ、これを読んだ勝兵塾で講師もしていただいたことのある岸田氏から、テキサスにある太平洋戦争博物館にも同じような展示がなされているとの連絡があった。岸田氏によれば、その博物館には過去に、『1871年に日本が中国から沖縄を日本に帰属させた』という記述があり、抗議の結果、『中国から』という文言は削除されたという。中国は小出しにしながら反応を窺い、反撃しなければ事実でないことを既成事実化してくる。私は以前から情報省を創って、間違った情報に対して24時間以内に反撃せよと言ってきた。中国在住の知人からの勧めで読んだ記事に書かれていたが、トランプが大統領になって初めの1年はキッシンジャーが外交顧問のような役割を果たしていたが、対中強硬派のランディ・シュライバーがアジア担当の要職に就いたことで、トランプの中国に関する発言も変わってきた。この北朝鮮危機を機に憲法改正を実現させなければならない。しかし、9条2項の扱いで自民党は2分している。私は1項、2項に加えて3項を設けて、3項には『国防のための交戦権と国防軍を保持する』旨を定める『加憲』に収束させるべきだと考える。衆議院、参議院とも改憲勢力が確実に3分の2以上を確保しているのは来年の参院選までである。また、国民投票について、過半数の支持ではなく、7、80%の支持を得られるよう、かつて現行憲法を周知させるために小冊子を2千万部作成して配布したように、一大国民運動を展開すべきである。アメリカは圧倒的な軍事力を持っているから北朝鮮を恐れていない。一番危ないのは日本である。北朝鮮に対しては、金正恩の生命を狙うものではなく、政権維持も認める前提で、公開限定空爆でICBM関連施設と核関連施設を破壊するなら、金正恩も国内向けに限定的な反撃はしたとしても、ソウルに反撃してくることはないだろう。北の核は対中防衛のためであり、アメリカは核がアメリカに届くことは認めない。」と、中国が仕掛ける「歴史戦」の現状と憲法改正の必要性を説きました。

衆議院議員の鷲尾英一郎様

衆議院議員 鷲尾英一郎様

 衆議院議員の鷲尾英一郎様は、「昨年の衆議院選挙では勝兵塾から推薦を受け、無所属で当選することができ、現在国会内では無所属で活動している。本日は今年から来年にかけて大きく動く憲法と皇室についてお話ししたい。憲法改正の議論の中で立憲主義という言葉をよく耳にするが、立憲主義とは憲法の文言に照らして法や制度を構築して運営することだと定義できる。2015年の平和安全法制を巡る議論の中では、安倍総理が解釈を変更することで集団的自衛権の一部を認めることに対して、立憲主義を守れという批判があった。しかしこのことを憲法違反だというのなら、自衛隊も憲法違反だと言わなければならない。吉田茂は前文と第9条を文言通り捉えて、自衛もしないと国会で答弁したが、これに対して共産党から反対意見が出た。その後GHQの占領政策が変わり、自衛隊を認めなければならなくなったため、政府は解釈を変更した。それ以来自民党と社会党との間で議論が続けられてきた。しかし多くの国民は、自衛隊は違憲だと思っていない。このように、国民の間の雰囲気で憲法の解釈が変わるのは問題である。立憲主義を守るために憲法に自衛隊を明記すべきである。都合良く立憲主義を解釈している人々が国会にはいるが、正しい理解をして周りに広めてほしい。」「来年には天皇陛下のご譲位がある。秋篠宮殿下は皇太子にはなられず皇嗣殿下となられるため、皇太子のお立場が不在となる。これは危機管理として重要な問題ではないかと思う。我々は皇室のお気持ちをしっかり忖度して、皇室の在り方について議論をしていくべきである。」と、憲法改正と皇室の在り方について、深い議論の必要性を訴えられました。

衆議院議員 馳浩様

衆議院議員 馳浩様

 衆議院議員の馳浩様は鷲尾様に対して、「いつまで無所属でいるのか?」と質問され、鷲尾様は、「まだ選挙が終わって時間も経っていないので、今は無所属として自ら信じる道を歩んでいる。」と答えられました。

サー中松義郎博士

サー中松義郎博士

 さらに、サー中松義郎博士は、「なぜ無所属なのか理由がわからない。」と質問され、鷲尾様は、「私は岸信介先生を尊敬しており、岸先生の目指した二大政党制が実現すれば、政党が互いに切磋琢磨した方が日本は良くなると考え、2005年に民主党から出馬して初当選した。それから紆余曲折があって無所属になった。その先のことはもう少し様子を見させて頂きたい。」と答えられました。

元国際大学教授・学術博士の青柳武彦様

元国際大学教授・学術博士 青柳武彦様

 元国際大学教授・学術博士の青柳武彦様は、「安倍総理の加憲論は緊急課題だと考えている。憲法に自衛隊を明記した上で、安保法制をがらりと変えて頂きたいと思っている。今の安保法制はあまりにも歯止めばかりで役に立たないから、廃止して役に立つものに作り変えてほしい。安保法制は自衛隊に勝つことを禁じる自殺願望の法制である。自衛権をできるだけ小さく制限しようとしている。存立危機の問題では、日本安全保障会議に申請して審査をする必要があるが、緊急事態においてはできるだけ手続をシンプルにすべきである。また、自衛隊法では出動命令がないと自衛隊は出動できないが、出動命令には国会の審議が必要である。自衛隊法は『最小限』、『ポジティブ・リスト』、『専守防衛』といった思想から成り立っており、警察官職務執行法に準ずる規定が22カ所もある。これでは本物の軍隊が来たらすぐにやられてしまう。このように、法律で日本は勝ってはいけないと決めているのである。さらに軍法と軍法会議がないから、敵を殺傷すると刑法で起訴されてしまう。安保法制を改正して自衛隊が合法的に行動できるようにしなければならない。こうしたことの背景にあるのが自虐史観と贖罪意識である。その原点は日米開戦の経緯にある。ルーズベルトの権謀術策によって日本は戦争に追い込まれたが、その真実が明らかになれば、アメリカの原爆投下や大空襲、東京裁判などを正当化できなくなってしまう。そのため、真珠湾攻撃に関するアメリカの調査委員会や査問委員会の内容は2065年まで公開しないと決められた。しかし皆真実をわかっている。明らかになった真実が日本の教科書にも書かれるべきである。」と、現行の安保法制の問題点と憲法改正の必要性について論じられました。

エルドリッヂ研究所代表・政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ様

エルドリッヂ研究所代表・政治学博士 ロバート・D・エルドリッヂ様

 エルドリッヂ研究所代表・政治学博士のロバート・D・エルドリッヂ様は、「私は日本の人口減少と自衛隊兵力の問題について関心を持っている。これまで人口減少は人不足など、経済に対する影響の視点から論じられてきたが、私は23年前の阪神淡路大震災以来、自衛隊とのつながりが深いので、人口減少が自衛隊との関係でどのような意味があるのかを考えた。昨年は『陸上自衛隊の歴史―正当性の追求―』をいう書籍を上梓した後、少子化問題に関心を持ち、12月に論文を発表した。私は30年近く日本に住んできたので、政府が先送りしている問題について、外国人の目で問題提起をしたい。日本の人口減少と超高齢化社会は世界から注目されている。政府は人口減少を経済に対する打撃のみ論じてきたが、防衛省は対策を真剣に考えていない。私は14の解決策を提案したが、日本政府が考えているのはそのうち3つか4つであり、非常に甘い。成人を創るのに18年、20年かかるので、今から取り組まなければ間に合わない。私が提案した解決策には課題もあり、総合的に見る必要がある。さらに日本は戦力の維持だけを考えようとするが、戦争を計算に入れていないのは平和ボケ国家の概念と言える。人口減少のシナリオとして9つの分析があるが、もし専門家が間違っていたら、もし想定外のことが起こったらどうなるのかも視野に入れておくべきである。」と人口減少が国防に与える影響について問題提起をされました。

三菱東京UFJ銀行赤坂支社支社長の山下英明様

三菱東京UFJ銀行赤坂支社支社長 山下英明様

 三菱東京UFJ銀行赤坂支社支社長の山下英明様は、「私の30年間の銀行員生活の中でインドネシアのジャカルタに3年、マレーシアのクアラルンプールに3年の計6年間海外に駐在した経験がある。私は旧東京銀行出身だが、東京銀行は早くから海外向けの定額自動送金のサービスを導入するなど、海外に駐在する日本人の生活に役立ってきた。
 海外駐在生活ではそれぞれの国で特有の文化を理解し、対応していかなければならない。宗教、言語、民族の違い等々。これらの経験を通じて自分の座標軸が出来上がった。現在はup side down(逆さま)の時代と言われる。中国の資本主義が進み、米国が保護主義に向かうこういう時代だからこそ自分の座標軸をしっかり持つことが大事である。帰国後は勝兵塾で正しい日本史を学ぶことで自分の座標軸を磨いている。最後に海外赴任から日本に帰国するときは、平和で言語や民族の問題が極めて少ない祖国日本の素晴らしさを改めて感じたと語られました。

史実を世界に発信する会会長代行の茂木弘道様は青柳様

史実を世界に発信する会会長代行 茂木弘道様は青柳様

 史実を世界に発信する会会長代行の茂木弘道様は青柳様に対して、「憲法9条について、芦田修正の意味を明らかにするべきではないか」と質問され、青柳様は、「憲法はアメリカからの押しつけと言われるが、自衛権については日本が勝手に縛っている。自然法では国家は国民の生命、財産を守る権利を持っており、これに反するものはすべて無効である。したがって、憲法9条について、自然法の法理に基づいて無効とする考え方がある。さらに芦田修正を活かすという方法もある。芦田修正では、国威の発揚のためや侵略のための戦力も交戦権も認めないが自衛権は別だと言おうとしていた。しかし、日本は大陸法系の法体系であり、条文の分離解釈を重視して自然法の法理を軽視してきた。一方、日本国憲法の草案を読んで、極東委員会もマッカーサーも日本は自衛権を持っていると考えたため、『文民条項』を入れるように求めた。つまりマッカーサーは、日本は戦力も交戦権も持つことができると考えたのである。また、なぜ芦田修正が活用されてこなかったかというと、その内容が吉田茂の答弁と異なるため、憲法改正小委員会の議事録が1995年まで非公開とされたからである。」と答えられました。

勝兵塾事務局長の諸橋茂一様"

勝兵塾事務局長 諸橋茂一様

 勝兵塾事務局長の諸橋茂一様は、「1890年6月に答礼のために来日したエルトゥールル号が帰国の途中の9月16日、串本・大島沖で遭難して、587名が亡くなられ、69名が救助されたという事件が起こった。日本政府は救助された69名を、『比叡』と『金剛』の2隻の軍艦を仕立てて、イスタンブールまで送り届けた。この話はトルコの小学校教科書に載っているため、トルコ人のほとんどは知っているが、日本ではほとんど知られていない。トルコ人将兵を救助した人々は、貧しい生活をしていた中、トルコ人将兵達のために食料を提供し、治療をした医師達は、和歌山県知事から治療費を請求してほしいとの申し出があったにもかかわらず、その申し出を断った。私は串本町を訪れてこうした話を伺い、日本人の素晴らしさを改めて認識させられた。」と、エルトゥールル号遭難事件から当時の日本人の素晴らしさを紹介されました。

 

 最後に塾長は、「恒例の戦跡を訪ねる海外研修として、次回はウズベキスタンに行こうと計画している。ウズベキスタンにはソ連に抑留された日本兵達が建てたナヴォイ劇場があり、日本人の素晴らしさが今も語り継がれている。正式に出発期日が決定しましたらご案内いたしますので是非申し込んで頂きたい。」と次回の海外研修の予告をし、会を締め括りました。